疥癬治療にイベルメクチンが使用可能となりました
2005年4月12日
医療問題検討委員会 担当理事 飯島正文
日皮会員の長年の願望であったイベルメクチン(商品名 ストロメクトール錠3mgR:萬有製薬)の疥癬に対する適用拡大に向けての第一歩が、いよいよ踏み出されました。萬有製薬より3月14日付けでイベルメクチンの疥癬に対する適用追加申請がなされ、正式に受理されました。イベルメクチンの疥癬に対する適用追加の申請書受理により、受理の日から承認されるまでの間(2年間が限度)「特定療養費」制度、すなわち薬剤費は患者さんの負担で、その他の医療費は保険診療で、という制度を利用して、イベルメクチンを疥癬の治療に使うことが可能になりました。
特定療養費制度を利用してイベルメクチンを用いた疥癬治療を行うためには、各医療機関がそれぞれの都道府県社会保険事務局に届け出る必要があります。届出に記載する内容については萬有製薬の担当MRから情報提供することが可能ですのでお尋ね下さい。なお疥癬を適用疾患とするイベルメクチンの使用にあたっては、期待される効能・効果、安全性・副作用、支払費用など、患者さんに対する十分なインフォームド・コンセントが必要であることは言うまでもありません。なおインフォームド・コンセントについては、文書による説明と同意の取得が望ましいものとされております。また現在までのところ、疥癬に対するイベルメクチンの投与指針・治療方法に関する統一見解は無く、用法・用量は腸管糞線虫症のそれに準拠することになります。なお、イベルメクチンの第2回目投与の適否とその時期(卵が孵化する5〜7日後?)、重症型(角化型)疥癬における使用法などについても、日本皮膚科学会として継続的な検討が望まれるところであります。